あの頃のキミは
「絵麻、大丈夫?顔色悪いけど…」
振り返ると、凪くんが立っていた。
「な…凪くん…」
すごく心配そうに顔を覗かれ
まさかおなかが減って気分が悪いなんて…
言えるかぁ!!
と思った矢先…
ぐぅぅぅーっ…
先に私のお腹が大きな音で喋り始めた。
一瞬の間。
ふるふると肩を震わせた凪くんがもう無理!と大声で笑い始めた。
「…くっ…あははははっ!!」
ひーひー笑い、涙を拭う凪くん。
こんなに破顔して笑う凪くんを見たの初めてかも。
その姿が珍しく、恥ずかしさを感じながらもじーっと見てしまう。
八重歯もまた可愛いな…と考えたところでハッとする。
「…ちょっと!笑いすぎじゃない?!」
「あー、笑った。ごめんごめんっ、これあげるから」
コロン…
と掌になにかが転がる。