あの頃のキミは
無意識とは言え、誰がどう見ても私が凪くんの事を押し倒している状況で…

「ごっ…ごめん!!」

急いで退こうとすると腕をつかまれた。
今度は引かれた勢いのまま、凪くんの胸に倒れ込む。

「ちょっ…な…な…なぎくん…⁈」

「ドキドキする?」
そのまま私の背中に凪くんの手が回される。

「は?え?なに言って…」

「ドキドキする?…俺に…」

そ…そりゃ、男の子とこんなに密着したことなんてないし…

「こんなの…するに…決まってるよ…」

頬がちょうど凪くんの胸にピタッとくっついて、凪くんの体温と恥ずかしさとで顔が熱い…

「…俺じゃなくても?」

「え…?」

「…もっと…ドキドキ…してみる…?」


凪くんの綺麗な指先が私の唇にふれた。

少し起き上がると、両手で顔を包みこまれる。その手は少しひんやりしていて、ほてった今の私の顔にはちょうどよかった。
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