それでもすきだよ。
「ねぇー。 大ちゃん。」
「ん?」
「今日も行く?」
「…行こっか。 時間もあるし。」
そう言って、春の温かい日差しに照らされながら、あたし達はいつもの場所へ向かった。
*
「わぁ~ 今日も綺麗だねぇ…」
「だなぁ…。」
目の前にある壮大な海を眺めながら“綺麗”って言葉をずーっと、口にする。
ここにいるときだけはなぜか、お互い無口なまま。
多分、ここの景色を知っているのはあたしと大ちゃんだけかも…。
あたし達が住んでいるこの地域は田舎の中の田舎で、コンビニすら歩くには行けない距離だ。歩いても、約1時間は余裕に超えると思う。
だけど、田舎の割には地域の人口は多いかもしれない。
学校の生徒人数だって、中学生だけでも一学年に60人はいる。
だから、必ず2クラスあって毎年クラス替えだって行っている。
この海に来る度、“自然いっぱいなこの地域はやっぱり和むなぁ~”なんて思ってしまう。