ウエスト・キャバレー・ドライブ
ワックスを使ってかっちりと固めたオールバックに、同じく鎧のようにかっちりと身につけているスーツ。

彼が普段何をやっているかなんて、わからない。

彼が既婚者なのかどうかも、わからない。

私は、彼にそんなことを聞いちゃいけない立場だ。

「――あっ…やあっ…」

彼の唇が、私の首筋に触れた。

私は、彼と躰を重ねるだけの存在。

「――んっ、俺がくるまでいい子にしてたんだな。

えらいな」

荒い呼吸をしながら、彼は私の躰に触れる。

唇で、舌で、指で…時には、視線を使いながら。
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