この想いを君に
そこにはあの男の子だけがイスに座って音楽を聞いていた。話しかけようと思ったがやめた。邪魔にならないようにそっと見ることにした。

よく見ると初めて分かったことがたくさんあった。名前もわかった。だが、漢字が苦手な私は読めなかった。


 渡咲 蓮

ただ下の名前だけはなんとなく読めた。


「れ、れん?」

「え?だれ?」


いつの間にか音楽を聞くのをやめていた。

とてもビックリして走って逃げた。その時私は生徒手帳を落としたことに気づかなかった。

何日かして中2生活に慣れてきたころ移動教室で廊下を歩いているとどこかから自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
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