桃の天然水‐桃天!‐
放課後。
「あーうっぜー…なんなん、あの女」
屋上につくなり、俺は叫ぶように言った。
まあ、実際に叫んで万が一他の誰かに訊かれたら元も子もないし、そこらへんを配慮しての最大ボリュームの声。
「ああ、榎本?」
「そーそー、榎本沙織」
耳に声が残ってる感じがして、気持ち悪…
「あれは完璧お前のこと好きだろ」
「げー…」
放りっぱなしになっているベンチに寝転がった。
空が、青い。
俊平はあきれたように言う。
「お前、なんで愛想振り撒くんだよ。んなに嫌なら、やめとけって感じなんすけど」
愚痴るために連れ出されるこっちの身にもなれよな、
なんて続ける。