桃の天然水‐桃天!‐
「俺は、あーゆー女嫌いなの。生理的に受け付けないわけよわかる?」
「答えになってねえし」
「うっせ」
「じゃあ、どんなんがお好みな分けよ王子様は」
俊平は心底どうでもいいって顔をする。
「そうだなあ…こう、厚かましくなくて、で、かわいくてー、華奢でー、料理が上手でー、声がこう、透き通ってて、それからー」
「いるかよそんな女」
「いるし!!ドラマとかにめっちゃありがちじゃんか。あんな俳優にあんな恋が芽生えるんなら、俺の方が男度は上だし?もっとハイレベルにかわいい子が現れると思うわけ」
「勝手にほざいとけ、バーカ」
俊平がそう言い終わったのとほとんど同時に、ケータイのアラームが鳴った。
あんまり素で居すぎると、元に戻るのがだるくなるから、1日30分。
その30分だけが、ホンモノの吉永隆司。
「…さて、と…さんきゅう、おかげで俺これからも優等生を演じられるよ、俊平君」
「なあ、前から思ってたけど、お前だいぶキモいぞ」
「ははは、キツイこと言うなあ、俊平君は」
瞬時にキャラチェンジ。
やべ、俺って頭良くてかっこいい上に、超演技派!!
俊平は、もうすこし残るという。
そこで俺は1人で、江崎先生との約束に遅れないよう、っていうかむしろ余裕で到着できるように、小走りで屋上から移動した。
優等生は、常に10分前行動さ。