桃の天然水‐桃天!‐
「っきゃあ!!」
「大丈夫?」
やべえ、マジおもしろい。
俊平で遊ぶよりおもしろいもの発見!!
「だいだいだい…っ大丈夫れす!!」
しかも噛んだし!
ヤバいよ君、最高だよ!!
「君、おもしろいねぇ!!」
俺は我慢できずに笑い出してしまった。
女の子のこと笑うなんて、優等生失格?
…ま、いっか。先生居ないし。
この子も、今の状況に追い付くのに精いっぱいで、他者にこの時の俺の様子伝えることなんて出来ねーだろ。
毛先が緩く巻かれた、明るい茶色のセミロング。
頭に手を乗せると、ボン!!と余計に赤くなる顔。
めっちゃおもしろい!!
「や、あの、その!!」
「何年生?」
少なくとも、3年ではないな。
「い、一年…生です…」
「そぉ、後輩か。何科なの?」
「デ、デザイン科…です…」
へえ。
ああ、だからオシャレさん?
デザイン科の女の子は、制服の着こなしがハンパなくうまいって話を思い出した。
改めてみてみれば一目瞭然だけど、リボンじゃなくてネクタイを巻いている。たしか、デザイン科の指定はネクタイだったはずだ。
「名前は?」
「桃井、桃子です」
うわあ、親何思って付けたんだよ。
桃桃って。ひな祭りかっての。
「桃、桃…かわいー名前だって、言われない?」
「紛らわしいって言われますですはい」
舌打ちしそうな顔。
ああ、この子も思ってんだ、語呂わりいんだよ、って。
「桃井…桃子ちゃん、…?」
「は、ハイハイィ!!」
「名字も名前も、桃ちゃんだね」
俺がほほ笑むと、桃ちゃんは思いっきり顔を赤くした。
苗字も名前も、そして、顔色も桃ちゃんだよね。
真っピンク、やむしろ赤?
あ、これじゃあリンゴちゃんじゃん。
くだらないことを考える自分自身に苦笑した。