桃の天然水‐桃天!‐
俺がぼんやりとそう思う傍ら、江崎先生はちょっと深刻そうに声のトーンを落として続けた。
「なんかね、間宮先生、お家で急用が出来たみたいで、さっき慌ててお帰りになったの。それでね、今日は帰って良いって」
逆に、桃ちゃんの声は急に明るくなる。
「え、ホントですか?」
「ええ」
先生が笑顔で桃ちゃんに頷くと、ももちゃんはぱぁぁーっと目を明るく輝かせた。
えええー!!
ずりいよ桃ちゃん!!
俺なんかさ、1ヶ月放課後縛られるんだぜ?
たまらず先生に訊く。
「先生?あの、俺はどうしたらいいんでしたっけ?」
「あぁ、ごめんね吉永君」
俺がいい子を演じているそばで、桃ちゃんはいそいそと帰り支度をする。