桃の天然水‐桃天!‐


……あれ?
前が見えない。



「桃ちゃん、反対だよ」
「ふぁい?」


声がこもっちゃってるよ。
キモいよあたし…

隆司様は笑いながらあたしのヘルメットを外してくれた。

「あはは、髪がボサってなっちゃったねー」
「いつものことですから…」

天然パーマ、略して天パなんです。
隆司様のような髪がうらやましい限りです。

「えー、なんで?ぼさぼさでも可愛いからいいよ」
「ああ…かわ…えええ!?」
「ん?」
「かわ、かわいくないです!!!!」
「あはは、桃ちゃんおもしろい顔ー」

隆司様はヘルメットを正しい向きにかぶせてくれると、バイクに跨った。

「後ろにどうぞ、桃ちゃん」



なんでそんなにカッコいいんですか?

ねえ、神様仏様隆司様。




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