桃の天然水‐桃天!‐

笑いだしたくなるような急展開にまた気絶しそうになりながらも、よじ登るようにして後ろに座った。


大きなバイク。
暗くてよく見えないけど、きっとメタリックな青。
後ろにも座る場所があって、ちゃんと2人乗りできるようになってた。



ああ、今までに何人の人がここに乗ったんだろう?


そこまで考えて、脳内で自分を叩く。

何考えてんの!?あたしったら!
ちがうもん!
王子様だもん、そんなチャラチャラしてないもん!



白馬になった王子様、じゃなくて、バイクに乗った王子様…
うーん、近代的でカッコイイ!!






「大丈夫?乗れた?」

ヘルメットごしだからか、少しだけこもった隆司様の声。

「は、はい!」

顔と同じく間抜けなあたしの声。
隆司様の笑い声が聞こえた。

思ってたよりも、ずっとずっと、よく笑う人なんだってわかった。
つい何時間前までは、ただの憧れの王子様。
今は、こんなに近くにいて、声が聞こえて。


「じゃーつかまっててねー?」
「ど、どこに」
「テキトーに…あ、俺の腹に手ー回してくれていいよ」
「そ、そんな!めっそうもない!」


あたしは思い切り首を振った。
ごきん、って嫌な音がしたけど気にしない。

マンガですか!?
ドラマでしょう!?
そんな、ラブラブカップルの図になるなんて…恥ずかしすぎて死ねる!


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