桃の天然水‐桃天!‐


「や、桃ちゃんが落ちたら困るからさ」
「だ、大丈夫です!体丈夫なんで、落ちても死なない…」


…でも、これで事故って、いや隆司様に限ってそんなことはないんだろうけど、じゃあ、あたしがバランス崩して落ちたら…
隆司様に迷惑がかかる!?

そんなのダメだよ、うん。
あたし歩いて帰ります。


「せ、先輩!あの、あたしやっぱり歩い」
「うーん…あ、じゃあ、俺が寒いからしがみついてて、って言ったらどう?」
「…寒い?んですか?」

今日は、そこまで寒くないような…
あ、でも言われてみればちょっと寒いかな…

って、そうじゃないだろ!


「あ、あの、それは、あの」
「遅くなっちゃうよー?かえろーよー桃ちゃんー」








うわあああ…!!








あたしは恐る恐る腕を回すと、そっと隆司様につかまった。

顔から火が出るって、こういう事を言うのかも。




今この瞬間ほど生きてて良かったって思うこと、この先きっとないよ。



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