桃の天然水‐桃天!‐
夜の公園には、当然だけど誰もいなかった。
ちょっと不気味。

「こんなところまでわざわざ、ありがとうございました!!」

何とか地面に下りると、ヘルメットを両手で外して、両手のまま隆司様に渡す。
それからその勢いで頭を深ーく下げた。

隆司様は気にしないでと笑うと、それからあたしに心配そうな顔を向けた。

「本当に、大丈夫?」


っぎゃあー!
そんな!
そんな目で見つめないでください隆司様!
あたし免疫ないんですよ!美形に対して!!


「はははい!もう全く問題なしですノープロブレムです!」
「桃ちゃんが降りたいっていうんなら…」


そんなことは言いませんよもったいない!


隆司様が視線を下げた(ように見えた)。

ああもう、ヘルメット邪魔!
綺麗な横顔がはっきり見えない!!
隆司様モデルとかやんないのかな…
もしモデルになるのなら、ファン1号を名乗らせてくださいね!


あたしがバカなことを考えて二ヤついていたら、隆司様が両手をポン!と合わせた。
顔を向けるあたし。

「じゃあ歩こうか」

隆司様は公園のベンチの側にバイクを止め、自分のヘルメットを外した。


ふわ、と隆司様の髪が揺れた。






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