桃の天然水‐桃天!‐
俺は、後者を選んだ。
今日はもう疲れたし、どうせ1ヶ月間図書室に捕まってるんだから…何も初日から必死にやる必要なんてないし。
…でも、優等生なら仕事が早いだろうからー…
3週間、ってとこかな。
俺はぼんやり窓の外を見た。
だんだんオレンジが深くなっていく、夕暮の空。
もう一度、桃ちゃんに視線を戻す。
桃ちゃんがこのまましばらく起きなかったら、俺どうしたらいいんだろう?
てかそもそもなんで倒れてるのかさえわかんないし。
その時、桃ちゃんの腕がピクリと動いた。
「ううう…ん…」
あ。
起きる?
さっきより少しだけ顔を余分に近づけて(確信犯)、それからその女の子を呼ぶ。
「おーい桃ちゃん?」
桃ちゃんの大きな目が開いた。
もちろん目が合う。
にーっこり、笑う俺。
「あ、目覚めた?」
桃ちゃんがなんのリアクションもとらないので、なんだーつまんないと思った。
したら、いきなり叫ぶ。
気を抜いていたせいで、ビックリした。
「こ、声が大きいよ…」
情けなく耳を押さえる。
桃ちゃんはハッとした表情でペコペコ頭を下げてきた。
「ごめんなさいごめんなさい!!…って、ここどこですか!?」
…切り替え、早すぎでしょ。
状況確認のスピードが、尋常じゃないね。