桃の天然水‐桃天!‐
桃ちゃんはペコペコへこへこ頭を下げる。
そんなに頭揺らしたら、脳みそがカラカラいって、傷つくと思うよ?
ギッシリ脳みそ詰まってないでしょー君。俺と違って!

俺の頭の中なんて知る由もない桃ちゃんは、悲しそうな目で続ける。

「ほんっと、もう、なんといったらいいのか…申し訳ありませんですハイ。重かったでしょう、先輩。本当に恐縮です」

自分をどんだけ低い立場だと思ってんだろう?
そういや言葉遣いもなんか妙だし。

「いやいや…そこまで自分を卑下しなくても」
「鬚?」

あ、言葉遣いだけじゃなくて思考回路も変ね。

「いや、鬚じゃなくて…なんでもないよ…」



なんかね。もうめんどくさくて。



「今日はもう帰ろう。いいんだ、俺1ヶ月の間にってことで任されてるからさ。今日はありがとうね」
「そんな…あたしは何もしてないんです。ダメなんですよ、役立たずなんですよ」
「あはは、気にしないで」


倒れた段階ですでに発覚してますよ、そんなの。
俺はだんだんと冷えて来た教室の空気に少しだけ震えを感じた。


もう帰りたい。
学校めんどくさい。
でもなー、家は家で…









息がつまる。









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