桃の天然水‐桃天!‐
「くそぉー…なんで図書室はこんなに遠いんだ…」
あたしは1人、長い長い真っ白な廊下をぶつぶつ文句を言いながら歩いていた。
めんどくさいったらありゃしない。
あたしが何したっていうんだろ?
ちょっと素敵空想の世界に行ってただけなのに…
冷たい現実より、自由な素敵空想の世界だよねえ!
「現実に隆司様に会えるんならそれでもいいんだけどさ…」
ようやくたどり着いた図書室。
デザイン科と対極とも言える位置。
………いや、対極なんだろうなあ…
4階建ての理数科の端っこにあって、県下1の広さを誇ってる。
ちなみに、国語科はデザイン科と理数科の間。
あえて図書室を指名(指定?)してきたってことは、間違いなく嫌がらせよね。
「しかーし!こんなことでへこたれる桃ちゃんではないのだっ」
叫んで(理数科の人たちの視線がちょっと刺さった)、思いっきりドアを開けた。
「たのもー!!!!」
中にいたのは、王子様だった。