イチコイ日誌~苺色の恋記録~
「構ってほしいなら言えよ……」
「ちげーよ、アンタを起こす最終手段だか……んっ!」
後頭部を掴まれて、
朝っぱらから、ムダに整ったお顔とコンニチハ。
ちゅっ、とわざとリップ音を立てる兄の、
不敵な笑みに、ゾクリとする。
「……下に両親いるのに、何やってくれちゃってんの」
「そう言うわりに拒まねぇよな、妹ちゃん?」
「強引すぎるのよ、シスコン兄貴!」
ビンタなんか、ヒョイッとかわされる。
寝グセついてるのに、無造作なのすらサマになってしまう、シスコンイケメン兄貴。
「好きだからだよ、ばぁか」
起き上がって朝イチにすることは、妹の口説き落とし。
このときばかりは優しい腕に捕まって、あたしは今日も、逃げ場を失った。