イチコイ日誌~苺色の恋記録~
 
「んっ……おにい……!」


「……ダメだ、終わってねぇ……」



 ココも……ココもって。


 熱い舌が、上唇を、下唇を舐める。


 歪な傷痕を残らず見つけて、消し去ってしまいたいと。





「っ……連れ子だから、いいじゃん」





 壁に押し付けられたまま、右肩に重みがかかる。





「俺が好きなヤツ、傷つけんなよ猫かぶり共……」





 あたしがゴーと言えば、


 兄は、女だろうが何だろうが、手を上げるだろう。



 あたしがゴーと言わないのは、


 あたしのために、大好きな人が悪役になってほしくなかったから。



 ギュウッと包まれたあたしは、泣きそうになる。



 お互い、頑張りすぎたねって。
 
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