イチコイ日誌~苺色の恋記録~
「お姉ちゃん?」
「あ、なに?」
「上の空だった。転んじゃうよ」
時は流れて、私は弟と、通学路を並んで歩いてる。
ギュッと指を絡めて、転ばないようにしてくれて……。
しつけのなったワンちゃんですこと。
「う……そんなに見つめないで……俺恥ずかしい……」
「よしよし、お手」
「俺をよく見てお姉ちゃん! 人間だから!!」
こんな風にバカ出来てんのも、ひと騒動あったおかげでしてね。
この世の終わりを察したくらい重かった空気が、パーンッ! と飛んでっちゃったわけですよ。
〝おまえたちは、実の姉弟じゃないんだ〟
オトンの一言でね。