イチコイ日誌~苺色の恋記録~
「せーんぱい、おはようございます」
ギュッ!
まだまだ人影がない、平日の朝。
登校直後の昇降口で、ひとつ相談をしてみよう。
「ストーカーの被害届って、どうやって出すんだろ」
「誰ですか、そんな卑劣なマネをするヤツは」
「残念なことにウチの生徒。たぶんね、新入生だと私は思うの」
「先輩があまりに綺麗だから、ひとめぼれしちゃったんですね……大丈夫です。僕がずーっとそばにいますから、安心してください?」
「自覚症状のないストーカーって、怖いんだね」
なんとなーく高校生になって、2年目。
私を慕ってくれる後輩なんてシャレたものは、そこになくて。
「不思議なことを言う先輩も、好きですよ」
ドSな後輩に、毎日なぜか迫られるという悲劇。