楽園追放
プロローグ
不規則なリズムの機械音が空間を支配している。
部屋の端には役割を終えたのであろう数々の機械が埃を被った状態で山積みになっている。崩れかけた壁から漏れた微かな光を頼りに、薄暗い部屋を突き進む。
この部屋に入るのは初めてだが、迷うことなく奥へと歩みを進める。
床は本来の色が分からないほど真っ白な埃が覆いかぶさっている。どうやら、人がこの空間に立ち入るのは随分と久しいようだ。
多分……いや確実に、目標(ターゲット)はここにいる。根拠はない。勘だ。
機械音が大きくなっていくにしたがって、湧き上がる期待と高揚に思わず口元が緩んでしまう。立ちふさがるように床に転がっている木箱を押し倒しながら、一心不乱に前へと進む。そして―――――
「……見つけた」
悦びに満ちた囁きが、漏れた。