金魚の恋
Viva!tomko

何年ぶりだろう…
一年なんだね、まだ…。
もう十年も経ってる気がしてた。

=五月の連休に、あなたの元に行きます。
 まだ、わたしのこと、覚えてくれてますか?
 いっぱい書きたいけど、涙で便箋がぼやけています。
 空港まで、迎えに来てくれますか?
 この手紙、届くのでしょうか? 不安です。
 それより何より、私のことを 許してくれますか?
 だめなら、このまま捨ててください。
 OKなら、お返事ください。できれば、すぐにでも。

だめなことなんか、あるものか!
すぐに返信を書くよ。


tomko!

到着ロビーで待ってた時の僕の気持ち、どう言ったらいいのだろう?
期待と不安の入り混じった、複雑な思いでした。
何度も手紙を読み返して、そして時間の確認をしました。
居ても立ってもおられず、二時間も前に着きました。

会社に無理を言って、車を借りてきました。
社名入りのトラックだけど、君は嫌がらないよね。
僕がいつも乗ってる車なんだよ。
サンバイザーの裏にね、君の写真を挟んでいる車なんだ。

君が搭乗している飛行機が着いた。
十分遅れの 到着だ。
どっと 人が出て来ました。
背の低い君は、人込みに隠れてしまうんじゃないだろうか?
僕は、すぐに見つけられるだろうか?

「あっ!」
思わず、声を上げてしまった。
いの一番に、君が飛び出してきた。
僕を見つけた君は、大きく手を振っている。
僕も、負けじと 大きく手を振った。
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