金魚の恋
tomko!

「今夜、泊めてくれる? 明日、大阪に行くの。
お友だちと、関西旅行の約束してるの。
その前に、どうしても あなたに逢いたくて」

それが、君の第一声だった。
奇異な感じを受けたけど、あの時の、快活な君とは まるで違ってたけど、疲れてるせいなんだ と、解釈した。

音信不通の理由を聞きたかったけど、何だか 思い詰めているようで、怖くて聞けなかった。
お互い無口で、少し気まずい雰囲気だった。

僕のアパートに着いた時には、夜になっていた。
時計の針が、七時を回っていた。
灯りを点けようとする僕に、君は…

まさか、だった。突然のことに、僕はドギマギとした。
僅か一年足らずなのに、君は大きく変わっていた。
あの時の君は、少女だった。
今日の君は、大人の女性だった。
喜ぶべきなのか、哀しいことなのか。

「ごめんね。ビックリしたでしょ。あなたを 確かめたくて…」
「う、うん。ちょっとね…」

僕にとっては、ファーストキスだったんだ。
男のくせに と思うかも知れないけど、もう少しロマンチックな中で したかった。
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