金魚の恋
ドギマギしてる僕に
「ごめんね…ごめんね…」
って、突然 大粒の涙が。

僕の肩に顔を乗っけて、大泣きし始めた。
どうしていいのか分からない僕だったけど、たゞ黙って トントンと背中を叩いた。

暫く泣いてた君だけど、
「思いっきり泣いたら、すっきりした。びっくりしたでしょ、ごめんね。
最近、訳もなく泣く事が多くなっちゃって。情緒不安定なの…」
って、笑いながら、涙を拭いた。

「あゝ、お腹空いちゃった! なんか、食べに行こうか」
まったく 君は。

テーブルの上に置かれた、お寿司・菓子パン・カップうどん・etc…
よくもまあ これだけ買い込んだもんだよ。
ファミレスもチェーン寿司店も、人々々で 諦めて帰ってきた二人。
でも僕としては、その方が嬉しいんだけどね。
君もそうだろう? tomko!

「そんなに 見ないでよ」
驚くべき食欲だ!
呆気に取られる僕に、君は はにかみながら言った。
でも、美味しそうに食べる tomko。

「嫌いになった?」
上目遣いで、僕に聞いてきた。
「とんでもない!」
即座に答えた、僕。

「そうだ! お土産があるのよ。ごめんね、忘れてた」
大きなバッグの中から取り出されたのは、こけしだった。
それも、二体だ。

君の説明によると白石市特産の物で、頭部をロクロで二重、三重の輪が描かれているとのこと。
ベレー帽をかぶっているように見えた。
もう一つは、「鳴子系伝統こけしよ」って言ったね。
胴が太くて、首を回すとキイキイ音がした。

「私みたいでしょ!」
笑いながら言う君だったけど、目が笑っていない。
「そうだね、そう言えば」
「こらっ! そんなに太ってないゾ、私」
そう言いながら立ち上がって、グッと腰を手で押さえた。
胸を張って、
「あの時より、胸だって膨らんだんだからね。
ふふ、確かめてみる…?」
と、僕の目の前に…。

やっぱり おかしい。
僕の知ってるtomkoじゃない!
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