金魚の恋
連絡が途絶えて、もう三ヶ月を数える。
どうやら、フラレたらしい。
予感はあったけれど、淡い期待があった。

そうだよな、所詮、俺は高卒だ。
女子大なんだけど、名門校だもん。
合コンなんか、毎夜のことだろうサ。
二枚目ばかりが集まる、ダンパだろうし…

一所懸命、金貯めたの、何のためだよ。
食費削って、
一日一本のコーヒーを、二日に一本にして
ビン貯金は、何のためだよ!


燃える唇が なにを言う
燃える瞳が なにを言う

わかっている、わかっているさ
なにも 言いはしない

ただ その唇から 銀の矢が放たれただけ
   その瞳から 銀の矢が放たれただけ

“あらあらしい瞬間の暴力が飲み込んでしまう”
そしてその飲み込まれた世界は
誰も居ない浜辺に、
たった一人泳いでいるbokuを
もう一人のbokuが 見つめているところ

群れを離れた 一匹狼のいらだち
鉄工所の騒音から逃れ 無音室の中に閉じ込められた
男の いらだち
       
                     
昨夜、夢を見た。

bokuをあざけり笑うがごとくに、見も知らぬ男に抱かれていた。
一糸まとわぬ姿で、抱かれていた。

bokuは、黙って背を向けた。
bokuは、声を殺して涙した。

意気地なしのbokuを、笑いたければ、笑うがいい。
でも…だれ?
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