金魚の恋
teikoと食べた、屋台のラーメン。絶品だあ!
あんな美味しいラーメン、初めてだ。

「お二人さん、お似合いのカップルだね」
お世辞だとわかっていても、顔がニヤけてしまう。
「やだあ、おじさんったら」

そう言いつつ、teikoがbokuにしなだれてきた。
bokuの心臓は、臨界状態だ。バクバクの状態だ。
胸の膨らみを、はっきりと感じたんだから。

それからのことは、正直あまり覚えていない。
公園のベンチで、話し込んだような気がするん
だけど、あやふやだ。

別れ際に、
「目を閉じて」と、teikoに言われた。
“ひょっとして?”
淡い期待を抱いたbokuに、teikoは…
柔かいものが、唇に触れてきた。

「また、こんどね」
「…うん」

遠足の前の晩、興奮して眠れない。
早く寝なければ、と焦れば焦るほど目が冴えてくる。
まるで小学生だ。
このまま起きていよう! と決意しても、結局はいつの間にか眠ってしまった。

掃除したいのに、キレイにしておきたいのに、だめ! なんだよね。
部屋の中を、檻の中をうろつく熊さながらに、うろつくbokuだ。

大丈夫だろうか、迷わないだろうか。
バス停まででも、迎えに行けば良かったろうか

“コン、コン、コン、コン”
杞憂に終わった。
teikoが、来た。
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