金魚の恋
ひと通り掃除が済んで、戦い済んで、日が暮れて…。

薄暗くなった部屋の中で、bokuは放心状態にいた。
ベッドの端にふたりして座り、bokuはされるがままだった。
teikoはbokuの指を、弄んでいる。
指を絡ませあいながら、時折上目遣いで、bokuの反応を確かめている。

「bokuちゃん、女性を知らないんだ?」
嬉しそうに、bokuに話し掛けてくる。
bokuは、返事ができないでいる。


オ レ 何の為に生きているかと聞かれても、答えようがない。
    唯、満足のいく作品を創り上げたらー小説・詩とは限らないけど、
    とに角その時は、死ぬ。
boku  自殺、と言う意味かい?

オ レ かもしれない。違うかも、しれない。
    創り上げる前に、年老いて、果てるかも?
boku  そうか。じゃ、その時が、このbokuの終わりだね。

オ レ 君には申し訳ないが、そういうことになる。
boku  それは、弱ったナ。死にたくない! とダダをこねるかもし れないよ。
    といって、君だけが死ぬわけにもいかないし。
    第一、bokuが生きてたら、きっと君は復活するだろうし。

オ レ ホント、もうしわけない。
boku  じゃあ、今の内にね青春を謳歌しておくか。
    来たるべき 日のために。

オ レ ‥‥‥
boku フフフ、わかってるよ。
   それも、いけないんだろう? 
   君は、bokuがピエロになろうとすると、嫌がるね。
   bokuが溺れてしまうからかナ? 
   それとも、君自身がそうだからかい?
   ま、いいサ。
   でも、ひとりの人間が二つの独立した人格を持ち、
   双方共にその存在に気付いているというのは…。

オ レ 思うに、誰もがそうだと思うよ。
   自問自答、それを意識するか、しないか、そういうことじゃないかナ。
boku なるほどね…
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