金魚の恋
それから、お決まりの、アルバム観賞よ。
一ページ目は、ほらっ、良くあるだろ。赤ん坊を仰向けにした写真。それよ。
それも、デーン! とでかい奴でさ。一枚だけ、貼ってあるのよ。おちんちん丸出しで。
kazukoの奴、わざわざ指で押さえて大笑いしやがる。
「か、わ、いいぃぃ!」
俺の肩をバンバン叩きやがって、痛いのなんの。

「やめろよ!」
手で振り払ったら、…振り払ったら、…kazukoの体が、クルリと俺の正面に来ちまって。
フローリングの床だから、滑っちまって。

「ご、ごめん。調子に乗りすぎたね」
うつむき加減に、kazukoが、謝った。
「い、いや。俺こそ、力を入れすぎて…」

気がついたら、kazukoのひざが、俺のひざに当たってて。
そんでもって、俺の手がkazukoの腕に当たってて。
心臓がバクバクして、頭がカーッと熱くなって、
「kazuko-!」
って叫んで、そんでもって、kazukoを押し倒してて。

もう何が何だか、わかんねえの。
kazukoが抵抗していたのかどうか、それすらわかんねえの。
kazukoの口を塞いじゃってて。
あんなもん、キスじゃねえよ。ぶっつけてただけだもん。
悪いことしたよ、kazukoには。
ファーストキスがあれじゃ、ロマンチックのかけらもねえや。

我にかえった、って言ったら変だけど、カーッとなってた頭が落ち着いたのは、kazukoの胸を触った時だったような…。
ペコン! って、感じ。
シュークリームにかぶりついた時、上の方って中身がないだろ? 
あれっ? って、感じするだろう。あんな感じ、だ。

な~んかさ、裏切られたような気がしてよお。
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