金魚の恋
teiko!

魔性の女性!
恐るべし、17 歳!

「こんにちわ! ごめんなさいね、急に呼び出したりして。
どうしてもあなたと、お話したかったの。お詫びしたかったの」

どう考えても、年下の者に対する話し方だ。
もうすでに社会人としてひとり立ちしている、女性と呼ぶべきか?
テレフォンアポイ、なんだ? 舌をかみそうだ。
要するに、電話勧誘してるわけだ。

そう言えば、たまに何かの売込みで電話がかかってくるって聞いたことがある。
なるほど、だから大人びた話し方をするんだ。
この間とは、まるで違うんだもんナ。びっくりだよ。
一体どっちが、ホントのteikoさんなんだろう。
あれれれ、さんなんて付けちゃった。

“それにしては、楽しげに話しこんでたじゃないか!”
心の中で、bokuは呟いてた。
しかし口にすることはできない。
あの時bokuは、眠っていたのだから。

「でもね、傷つけるわけにはいかないじゃない。
お二人のお友だちに悪いしね。
わかってもらえる? 
帰り、狸寝入りしてたでしょ? 
あたし、すっごく気にしてたのよ」

何もかも、お見通しってわけだ。
それにしても、まだ確か、17歳だよな。
見えないよ、ホントに。
それに、馴れ馴れしくしすぎるよ。
デートってわけでもないのに。
えっ!? 
ひょっとして、これって、デートなわけかい。

「ねえねえ、こんど、二人で行こうねえ。
ということで、今日は…映画にしない?
どんな映画が好きかな。なんでもいいよ、teikoは」

bokuの返事を待つことなく、teikoは手を取って立ち上がった。
渋々といった風にbokuも立ち上がったけれど、うれしさを隠すので精一杯だ。

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