金魚の恋
tomko!

君は ホントにステキな女性だ。僕はもう、君に首ったけだ。
夢中です。

何時ごろだったろうか? 
時計を見れば時間が分かるのに、お互い 見ることはなかったね。
ぼくは、ひと晩中でも 君と一緒に居たかった。
でも、そんな訳にも……

路面電車の停留所にあったベンチに腰掛けて、僕たちは電車を待ってた。
車一台通らないなんて よほど遅かったんだろうか。

無口になりました、二人とも。
別れの時間が 近付くにつれて、口が重くなりました。
そんな寂しさの中でも、僕は幸せでした。
幸福感に 浸りきっていました。
tomko、君もそうだよね。
言葉なんか、いらなかったよね。

偶然なんだろうか、それとも 神様の心遣いかな?
タクシーが通りました。一旦 通り過ぎた後、バックしてきた。
「電車は、もうないよ。迎えの車が来るのかな」

助かったような、余計なお世話のような…
それが 別れの時でした。

tomko!

大変です、ホントに。
ホテルに帰り着いたら、十一時近くでした。
同部屋のクラスメートが、心配げに ロビーで待っててくれました。
フロントに頼んでくれてて、先生にはバレずに済みました。
でも、点呼時が一番大変だったようです。
「風邪気味で、寝ています」って、誤魔化してくれてました。

彼らには 迷惑をかけました。
その夜は、質問攻めでした。

「手を握ったか?」
「キスぐらい、したよな」
「まさか、ホテルになんか…」

もう、大変でした。根掘り葉掘り聞かれて、
「何もなかったよ」
何度言っても、信用してくれませんでした。
ベッドに入ったのは、明け方近くになってました。

tomko、君はどうだったのでしょう? 
怒られませんでしたか、心配です。
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