愛合傘Ⅱ~出会うことで始まる物語~
願い事
「今、外出れるか?」
田中君からの電話だった。
私は急いで家を出た。
夜道をかけ走った。
肌寒い夜の町は静かだった。
車が通る度にライトが道路を照らす。
桜公園、あの時以来だ。
圭太からの一通のメール。
カボチャのランタンが灯された、まだ青かった桜の木がピンク色に染まっている。
2度目になってもまだ思い浮かぶ。
「くしゅっ!」
空を見上げると、薄暗い夕焼けが北の空に浮かんでいる。
日も長くなり、点々と灯る街灯が夜道を照らした。