愛合傘Ⅱ~出会うことで始まる物語~
父親はいつかまたこの地に帰ってくると告げて遠くへ出ていきましたが、何年、何十年経っても帰って来ることはありませんでした。
何故なら、娘を誰にも見つけられないように森の奥で隠れて過ごして居たからです。
いつか父親が帰って来たら連れて行かれると思った祖父祖母は娘を隠したのです。
父親は探し回りました。
それでも、何処を探しても愛する娘を見つけ出すことはできませんでした。
ひっそりと森の奥で暮らしていたなにも知らない少女は16歳の誕生日を迎えた時、この家を出て行ってしまいました。
とても大切に育てていた祖父はショックのあまり、倒れてしまったのです。
少女は何も知らず家に帰ってくると泣き出しました。
ただ、自由になりたかっただけなのに、なにも恩返しできなかったのです。
少女はいつまで経っても泣き止むことはありませんでした。