白色なみだ .*
パウンドケーキ
次の日…
「千佳、今日は購買行かない?」
彩花ちゃんの提案で
私たちは購買に来ていた
「混んでるね~」
「ま、この時間は混むよね…」
人混みに押されながら
なんとか、パンを買って抜け出そうとする
そのとき、
「あっ…」
隣の人と肩がぶつかって、
私はバランスを崩す
倒れるーーー…
そう思った瞬間、ふわりと肩をつかまれて
誰かに支えられていた
慌てて、ふりかえると
ニコッと笑って見下ろす男の子
「一之瀬くん…」
トクン、
と胸の奥が熱くなるのを感じた
「大丈夫…?」
心配そうに、顔を覗きこむ一之瀬くんに
慌ててペコッと頭を下げる
「あ、ありがとう」
ほんのりと、頬が赤くなるのを感じながら
一之瀬くんを見上げる
「どういたしまして」
私の頭をポンポンと撫でると
一之瀬くんは、友達と
人混みに消えていった
ポーッと一之瀬くんの背中を
見つめていると
「千佳、大丈夫~?」
私の顔の前で、手をふって
彩花ちゃんが覗きこむ
「う、うんっ」
恥ずかしさで、顔を俯かせると
「一之瀬くんに助けてもらえて
よかったね~…」
ニヤニヤと笑って
私の頭を撫でる彩花ちゃん