白色なみだ .*
ーーー…
1時間ぐらい経ち
「な、なんで…
お母さんのはフワフワなのに
私のは、フワフワにならないの…」
出来上がったパウンドケーキを見比べて
私は、肩を落としていた
「…ん~…、なんでだろう…」
お母さんも、困った顔をしている
「もう1回、やってもいい…?」
「いいよ
お母さんも、手伝うね」
こうして…
その日は、5個もパウンドケーキを
作ってしまいました…
「千佳、おはよ」
「おはよ~」
休み明けの月曜日の朝、
いつものように彩花ちゃんと
窓側の席でのんびり過ごす
「今日、調理実習だね」
彩花ちゃんがニコッと笑って
私の顔を覗きこむ
「練習、がんばったみたいだね」
ボロボロになった私の手を見つめ
彩花ちゃんが呟く
「うん、上手に作れるようになったよ」
この休みも、お母さんと一緒に
がんばって練習したんだ
最初は不格好だった形も
綺麗に作れるようになって…
えへへ…、と笑って
窓の外を見る
綺麗な青空だなぁ…
なんだか、今日は良いことがありそう…
私は、新鮮な空気を吸って顔をあげた