白色なみだ .*
ーーー…
放課後、私の背中をポンポンと叩いて
彩花ちゃんは微笑む
「千佳、がんばってっ
パウンドケーキ、
上手に出来たんだから」
「うん」
調理実習で作ったパウンドケーキは
家で練習したときよりも
綺麗に作れていて、大成功だった
丁寧にラッピングした
パウンドケーキの袋を
ぎゅっ、と両手で抱きしめる
「…でも、緊張するなぁ…」
眉を下げて、微笑む私に
彩花ちゃんはガッツポーズをする
「逃げなかった千佳は、すごいよ
大丈夫、自信もって」
「ありがとう、彩花ちゃん」
力強い彩花ちゃんの言葉に
ふふっと笑って、うなずいた
よしよし、と私の頭を撫でて
「いってらっしゃい」
と言う、彩花ちゃんの言葉で
私は教室を出る
一之瀬くんは、さっき女の子に呼ばれて
資料室に行ったって聞いたから…
私は、資料室へと続く階段を
ゆっくりと上がる