翼の生えたシンデレラ
彼はあたしの手を引いて
ベンチに腰掛けさせてくれた


そして右足だけヒールが無くて
不格好な足元を
スーツケースで隠してくれた


優しい人…
初めて会ったのに


目深に被った帽子の陰で
表情がイマイチ読み取れないけど

整った横顔の輪郭に惹き込まれる



もっとちゃんと顔見たいな…



そんなことを考えていたら
またホームに乗客の列ができていた




「落し物はどちらですか?」


ようやく本物の駅員さん登場!


手に長い棒を持っていて
その先は洗濯バサミのような
作りになっている



落とした場所を案内しようと
あたしが立ち上がるのを制して

駅員風の彼が駅員さんを促した
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