鏡怪潜〜キョウカイセン〜
空気が……変わる。
濡れた床が、ピキピキと音を立てて凍り付くような気さえする。
真冬かと思うほどの冷気が足元に漂い……背後に、ナニかがいるという事がわかる。
少しでも気を抜くと、容赦なくその隙間に入ってくるようなナニか。
「どうして……私を見てくれないの!?」
「ひいっ!」
今日はまだ、ナニかと目を合わせていない。
そして、鏡にも映っていないのに、殺されてしまうかもしれないという恐怖に駆られて、私は脱衣所に飛び出した。
「はぁ……はぁ……鏡に映ってないのに……いい加減にしてよ」
それでも、玄関の時とは違って、掴まれるような事はなかった。
声を出して恐怖心を煽るだけで、直接的には何もして来ない。
でもそれが怖い。
その恐怖心を振り払うように、洗面台に置かれていたバスタオルを手に取り、乱雑に頭と身体を拭いて、服を着て廊下に飛び出した。
「あ、菜月ちゃん上がったんだね……って、髪濡れてるじゃん。しっかり拭かないと」
そんな私に、外にいた真弥ちゃんが声を掛けるけど、髪を乾かすとか、それどころじゃなかった。
濡れた床が、ピキピキと音を立てて凍り付くような気さえする。
真冬かと思うほどの冷気が足元に漂い……背後に、ナニかがいるという事がわかる。
少しでも気を抜くと、容赦なくその隙間に入ってくるようなナニか。
「どうして……私を見てくれないの!?」
「ひいっ!」
今日はまだ、ナニかと目を合わせていない。
そして、鏡にも映っていないのに、殺されてしまうかもしれないという恐怖に駆られて、私は脱衣所に飛び出した。
「はぁ……はぁ……鏡に映ってないのに……いい加減にしてよ」
それでも、玄関の時とは違って、掴まれるような事はなかった。
声を出して恐怖心を煽るだけで、直接的には何もして来ない。
でもそれが怖い。
その恐怖心を振り払うように、洗面台に置かれていたバスタオルを手に取り、乱雑に頭と身体を拭いて、服を着て廊下に飛び出した。
「あ、菜月ちゃん上がったんだね……って、髪濡れてるじゃん。しっかり拭かないと」
そんな私に、外にいた真弥ちゃんが声を掛けるけど、髪を乾かすとか、それどころじゃなかった。