銀猫ー最強歌姫の再来ー
「あ、の…」

 奏雨が立ち上がった瞬間に彼女がやっと口を開いた。

「あなた…銀猫ですよね…?」

 そんな彼女の質問に、奏雨は首をふった。

 深くフードを被っているから、顔は見られていない筈。

 きっと、大丈夫だろう。

 だって、彼女は…。

「違うんですか?…私、前にも銀猫に助けてもらって…。お礼を、言いたくて…。いや、違うなら良いんですけど…。その、ありがとうございました。」

 そう、彼女は確かに前も助けた覚えがあるのだ。

 でも、一応彼女の記憶を無くさなければいけない。

 私、“銀猫”と言う存在を、彼女から無くさなければ…。
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