【短編】フィガロの葉桜
ネロは、父母への復讐は成功する。
だがその後、ネロは親殺しの罪で王国兵団に捕まり、
魔女の紋様が刻まれたブロードソードを奪われ、
それのせいで魔女審判にかけられて、
拷問にかけられて苦悶のうちに死ぬ。
そこにはフィガロが、それにネロが望むような喜びや達成感、そして未来はない。
フィガロの数日後を見通す予知は、醜悪な未来を告げたのだ。
フィガロは外に出た。既にネロの姿はない。
葉桜を見上げる。
「兄さん。……私は、……何故兄さんを喰らったのでしょう。
私は、……何故生きたかったのでしょう」
フィガロの問いに葉桜は葉をざわめかすだけ。まるでそれが答えだと言わんばかりに。
「……私は、もしかしたら仲間が欲しかったのでしょうか。
同じ辛苦を共有する仲間が……。
それならば、ネロが出来ました。
弟みたいで、親友みたいで、……息子みたいな仲間が。
ですがそのネロですら、世界は復讐にかり立たせ、私から奪っていきました。
兄さんだけ……仲間がいるのは………………………ズルい」
こんな世界なら、私は…………………
いらない。
葉桜はフィガロの拒絶に呼応するように、ザァ、と葉音を鳴らした。
だがその後、ネロは親殺しの罪で王国兵団に捕まり、
魔女の紋様が刻まれたブロードソードを奪われ、
それのせいで魔女審判にかけられて、
拷問にかけられて苦悶のうちに死ぬ。
そこにはフィガロが、それにネロが望むような喜びや達成感、そして未来はない。
フィガロの数日後を見通す予知は、醜悪な未来を告げたのだ。
フィガロは外に出た。既にネロの姿はない。
葉桜を見上げる。
「兄さん。……私は、……何故兄さんを喰らったのでしょう。
私は、……何故生きたかったのでしょう」
フィガロの問いに葉桜は葉をざわめかすだけ。まるでそれが答えだと言わんばかりに。
「……私は、もしかしたら仲間が欲しかったのでしょうか。
同じ辛苦を共有する仲間が……。
それならば、ネロが出来ました。
弟みたいで、親友みたいで、……息子みたいな仲間が。
ですがそのネロですら、世界は復讐にかり立たせ、私から奪っていきました。
兄さんだけ……仲間がいるのは………………………ズルい」
こんな世界なら、私は…………………
いらない。
葉桜はフィガロの拒絶に呼応するように、ザァ、と葉音を鳴らした。