【短編】フィガロの葉桜
光の一切を拒み、人々から魔の住まう魔界の森と呼ばれ忌み嫌われる大樹海


『アランクディ大樹海』


その地の奥の奥の最奥部、既知の外界に存在する秘境の地。


そこに少女はいた。


まだ十歳をいくつも過ぎない位の少女は秘境を歩き続けていた。


少女の体には傷が幾つもある。長い事歩いているのだろう。


それにいささか痩せ過ぎている。その体はわらのようで、水気がまるでない。


風でもって吹けばそのまま倒れてしまいそうだ。


しかし少女は倒れる事なく、歩き続ける。


その手に兄の首を持ちながら……。
< 2 / 16 >

この作品をシェア

pagetop