【短編】フィガロの葉桜
そのうち少女は大きく開けた場所に出た。


少女はそこを棲み家に決め、中央に穴を掘り始めた。そしてその穴に兄の頭部を埋めた。


それからその上に種を蒔いた。何の種かは少女にもわからない。木なのか、花なのか、しかしどちらでも構わない。


ただ兄さんを感じられればよかった。


それがどんな形であっても、だ。


少女はしばらく、虚ろな瞳で盛り上がった土を見つめたまま動かなかった。


そして、そのままフッと糸の切れた人形のように倒れた。
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