【短編】フィガロの葉桜
それからフィガロと少年『ネロ』の生活が始まった。


しかしネロは根本的にフィガロを信用していなかった。


生活を始めた最初の頃、ネロはフィガロの作った物を食べようとせず、餓死しかけた頃に無理矢理食べさせるなんて事が何回か続き、フィガロを困らせた。


それから、始めて会話が成立したのも、やはり何ヶ月か経った頃。


だけどそれも時が経つにつれて、少しずつではあるが解消されていき、農作業すら手伝うようになっていた。


そして、それと時を同じくしてネロは剣を振るうようになっていた。


「ネロ。剣なんか振ってどうするつもり?

その剣は大人用だからお前には使えないよ?」


剣はフィガロが随分も昔に見つけた、冒険者の亡骸から持ってきた一般的なブロードソード。


子供の力で満足に振れるそれではない。


案の定、ネロは振れども剣の重さに体を持って行かれないよう踏ん張るので精一杯だった。


しかしそれでもネロは剣を降り続けた。
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