私の身体と心
「ここからはナビ頼むぜ。」

恭弥が私に言う。

「もう近いから。降りて信号を右ね。」

私はナビに集中しようとした。

「着いた。」

「へぇ、ここが侑希の実家か。」

団地ではない、集落の一角とでも言ったら良いか、のどかな風景。

「空いてるところに、車止めてくれたら良いから。」

車の音が聞こえたんだろう。

玄関からお母さんが顔を出した。

「いらっしゃい。」

ニッコリと笑ったその顔を見て、

「間違いなく侑希のお母さんって顔してるな。」と微笑む彼。

「私、佐野恭弥と申します。今日の事といい、土曜日の事いい、こちらの都合で申し訳ありません。」

深々と彼は頭を下げた後、手土産をお母さんに渡す。
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