私の身体と心
「佐野さん、侑希をよろしくお願いします。」

お父さんが最後に頭を下げた。

「侑希には、主人が倒れた時には迷惑を掛けました。そしてきっと私達に話さなかった辛さを経験しています。それもご存じなんでしょう?」

「お母さん?」

「あんなに急に留学したんだもの。おかしいと思うでしょ?あなたに黙って、大学側へ問い合わせたのよ。あなたが大学に戻った時、あの教授はいなかったでしょう?大学側がちゃんと調べてくれて、処罰してくれたのよ。あの教授はあちらこちらでセクハラまがいの事をしていたの。」

初めて聞く話だった。

「偶然だったけど、お父さんが倒れたのをうまく利用して、あなたを呼び戻したの。」

私はお父さんとお母さんの顔を交互に見た。

「だから侑希には幸せになってほしいわ。佐野さんも侑希の事、大切に思ってくれているのが伝わってくるし。」

お母さんは少し涙声。

それに対して、彼はこう言った。

「侑希さんの事は、私に任せて下さい。幸せにします。」
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