私の身体と心
私は運転しながら、ぼやく。

「こういう事は勢いが大事なの。さあ、お父さん、私達も忙しくなるわね。」

娘の結婚にハイテンションの母親。

まあ、これも親孝行なのかな。

「でも社長さんなのに、気さくなご家族だったな。」

珍しくお父さんがよくしゃべる。

「私なんて、恭弥さんがそんな家の人って知ったのは、実家への挨拶の少し前よ。それまで、そんな事全く感じさせなくて…。」

「でもそんなすごい人じゃなくても、侑希は佐野さんを好きになったんでしょう?」

「先に次期社長って聞いていたら、近づかなかったと思う。立派な肩書が有っても、信用出来ない人はいくらでもいるからね。」

私はあの事を思い出して、そう言った。

もう、前ほど意識していない自分に驚きながら。

車の中で、久しぶりにゆっくり話した。

実家に着いてからも、私は両親と遅くまで話していた。

良い事も悪い事もすべて良い思い出になりそうだ。
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