傘をどうぞ。
「刺でも刺さってしまいましたか?」

小さな痛みに一瞬顔をしかめた僕に気づいたのか、優しく声をかけてくれた。

「いえ、大丈夫です。丁寧ですね。綺麗に名前が彫ってあって嬉しいです。」

そういうと、彼女は少し俯いて頬を赤くした。

何故か、僕も恥ずかしくなって会話が続かない。

「じゃあ、そろそろ…。この傘いくらですか?」

「900円になります。」

見た目の割には思ったより安いなと感じた。
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