傘をどうぞ。
塗られるように染まっていく傘。

水たまりも、濡れた服も赤く赤く雨が染み込んで、僕を恐怖に陥れた。

まるで、血のように。

どうして雨が血に……?

怖い怖い…

ここのままじゃ……っ。

「助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて……っ!!!!」

傘なんて投げ捨てて、叫びながら走る。

路地を素早く抜けて家に向かって一直線に。

街を歩いている人は平然と傘をさして歩いている。

狂ったように叫びながら逃げ惑う僕を気味悪そうに見ているだけだった。

僕にしか見えてないのか・・・?

人にぶつかっても気にもせず、血に塗られながら、家のそばまで逃げきれた。
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