傘をどうぞ。
『ザザザーッドン!!ザー……ザーザーッ』

『ビチャッ……ビチャ』

また、ノイズのような音と気持ちの悪い音が頭に響く。

「嫌だ…。嫌だっ!お願いだから、さされよ!!」

それでも、血の雨は降り続け、鍵を手から滑らせる。

足元に落ちた鍵を慌てて拾い上げる。

後ろを向くこともできない。

早くドアを開けないと、この良く分からない『何か』に襲われる。追いつかれる。

急げ。早く。鍵を。

焦れば焦るほど、手はいうことを聞かずドアを開けられない。
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