傘をどうぞ。
切りそろえられた前髪と、腰まである絹のように柔らかそうな黒髪。
セピア色のシンプルな膝丈のワンピース。
そこから、伸びる雪のように白い肌の腕と脚
お人形みたいに端整な顔立ちなのに、
無表情で死んでいるかのような酷く冷たい目。
凄く不思議な少女で、僕は少しの間彼女から目が離せなかった。
「どうかされましたか?」
また、声をかけられてドキリとする。
「あのここは何のお店なんですか?」
そう聞くと、彼女は口元だけの笑顔を見せた。
「ここは傘屋さんなんです。」
「傘屋さん?」
傘など一つも置いていないのに、意外だ