卯月の恋
卯月

明け方の訪問

自分でも非常識だとは思う。


もう四月なのに、外はまだ薄暗く、少し肌寒い朝の五時。

そんな時間に部屋のチャイムを連続で何回も鳴らす私は、相当いやな隣人だろう。

当然、というべきか、隣の人はなかなか出てきてくれなかった。


こんな時間の訪問。
私だって、きっと同じように居留守を使うだろう。

むしろ、恐怖すら感じる、と思う。

それでも私はチャイムを鳴らし続け、おまけに握り拳でドアをドンドン、と叩いた。
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